廃棄物埋立層内における自然対流伝熱に関する理論的研究
吉 田 英 樹*・田 中 信 寿**・穂 積 準*
【要 旨】 廃棄物埋立層が,透気(水)係数の低い覆土で包み込まれる,あるいは水面下にあり,しかも層内に温度差がある場合はガスおよび水の自然対流が起こる可能性がある。そこで,多孔質体内の自然対流理論を廃棄物層に適用し,まずRaとDaを用いた自然対流発生限界状態を示す線図により検討した。その結果,ガスの自然対流が発生する可能性は非常に低いが,水面下の廃棄物層では条件によっては水の自然対流が発生する可能性があることがわかった。そこで,自然対流を考慮した温度分布を熱収支方程式とBrinkmanの式から求めたところ,廃棄物層が持つと思われる浸透率(固有透水係数)の範囲(10−11〜10−10m2)で水の自然対流による温度分布への影響が見られることが確認された。したがって,層内に大きな温度差があり,かつ透水性の高い海面埋立地内の温度分布を計算する際は自然対流を考慮しなければならない場合があることがわかった。
キーワード: 多孔質体,埋立層,自然対流,Ra, Da
廃棄物学会論文誌,Vol. 6, No.6, pp.245-251, 1995
原稿受付 1995.6.21
* 室蘭工業大学工学部建設システム工学科
** 北海道大学工学部衛生工学科
連絡先:〒050 北海道室蘭市水元町27-1
室蘭工業大学工学部建設システム工学科 吉田 英樹