小型合併処理浄化槽の清掃汚泥の発生量とその性状
小 川 雄比古*・田 所 正 晴**・大 野 茂***
【要 旨】 生活排水処理対策の一環として,小型合併処理浄化槽の普及が精力的に進められている。しかし,新しい方式のため,この装置から排出される清掃汚泥の量的,質的性状はほとんど明らかにされていない。そこで,し尿処理施設における浄化槽汚泥処理の一環として,小型合併処理浄化槽清掃汚泥の排出量や性状を調査したところ,つぎのことが明らかとなった。引抜き汚泥量は処理対象人員1人1年あたり約0.84m3であり,TSは22,000mg/l,BOD 6,000mg/lであった。排出量は従来のものに比べて1〜2.5倍であり,濃度は単独処理浄化槽汚泥と従来の中・大規模合併処理浄化槽汚泥の中間の値であった。また,し尿に対する濃度比は30-70%で,固形物が多く,有機物が少ない特徴があった。これらの結果から,早急に浄化槽汚泥の処理技術を開発する必要性が示唆された。
キーワード: 小型合併処理浄化槽,浄化槽清掃,浄化槽汚泥,し尿処理,浄化槽汚泥処理
廃棄物学会論文誌,Vol. 6, No.6, pp.252-258, 1995
原稿受付 1995.6.12
*神奈川県衛生研究所
**神奈川県環境科学センター
***北里大学名誉教授
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