【特 集 :容器包装廃棄物制度】

「容器包装リサイクル法」の運用に向けた市民運動の課題

――総合的な資源循環・廃棄物法制度の確立をめざして――

藤 原 寿 和*

【要 旨】 1995年6月9日に国会で可決・成立した「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)の制定の経過に伴う問題点や,法条文の内容に関する問題点などについて,市民運動の立場から概説した。まず,今日,行政手続法の流れから考えて,法制定プロセスに国民が幅広く参画して論議を行うべきであったが,一貫して「市民参加」の場がなかったところに,基本的な問題点がある。また,成立した容器包装リサイクル法には,(1)排出抑制の義務化の欠如,(2)事業者負担責任制度の不備,(3)廃棄物ゼロ・資源循環型社会に逆行,といった重大な問題点がある。こうした状況の中で,市民運動の課題として,当面は12月中に予定されている政省令の改正やその後の施行に向けて各省庁交渉を行っていくとともに,現行の廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び再生資源の利用の促進に関する法律の見直しも含めて,あらためて「市民による,市民のための総合的な資源循環・廃棄物制度の確立に向けた運動を展開していくことが必要である。

キーワード: 容器包装廃棄物リサイクル法,行政手続法,排出抑制,事業者負担責任制度,資源循環型社会

廃棄物学会誌,Vol. 6, No.6, pp.445-456, 1995

原稿受付 1995.10.30

* 廃棄物を考える市民の会

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