小型合併処理浄化槽清掃汚泥の固液分離特性
小 川 雄比古*・田 所 正 晴**・大 野 茂***
【要 旨】 廃棄物処理対策の一環として,家庭用合併浄化槽の設置促進が精力的に進められている。 本報では,し尿処理施設に搬入される浄化槽汚泥を処理する目的で,固液分離の基礎的な特性値を把握したところ,次のことがあきらかとなった。1) ろ過性能を示す指標は消化汚泥などに比べてきわめて低かった。浄化槽汚泥は非常に脱水性が悪く,無調質のままでは効率的な固液分離を期待することは困難と推測された。2) 浄化槽汚泥の固液分離特性を実験的に検討したところ,重力濃縮法に比べ機械濃縮法が効果的であった。しかし,無調質のままではほとんど固液分離ができなかった。3) 高分子凝集剤を用いて調質することにより脱水性は著しく改善された。4) 浄化槽汚泥の緑農地利用を目的に,無薬注脱水を行ったところ,凍結融解処理が最も有効で,薬剤処理とほぼ同等の調質効果が得られた。
キーワード: 小型合併処理浄化槽,浄化槽汚泥処理,し尿処理,固液分離特性,脱水性
廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.1, pp.1-7, 1996
原稿受付 1995.7.11
*神奈川県衛生研究所
**神奈川県環境科学センター
***北里大学名誉教授
連絡先:〒241 横浜市旭区中尾町52-2
神奈川県衛生研究所 小川雄比古