電気溶融炉による都市ごみ焼却飛灰の溶融
鈴 木 守 也*
【要 旨】 塩化物を19wt%含む都市ごみ焼却飛灰に廃砂と炭酸ソーダーを添加した調合物を,溶融塩流出部を付帯した容量約150kgの一槽式電気溶融炉によって溶融した。焼却飛灰の処理速度4.2〜25.4kg/hで電力原単位,溶融塩とスラグの分離率,有害な重金属類の固定率を測定した。トレーサー実験におけるマーカーの最短滞留時間(Ta)が0.7時間より長い時,塩化物を多量に含む廃棄物の連続的な溶融は可能であった。溶融スラグの安定条件で,溶融スラグを得るのに要する電力の最小値は1.7kWh/kgであった。また,スラグ中の塩素濃度から求められた溶融塩分離率の最大値は97%であった。スラグ,溶融塩中への重金属類の固定率は重金属の種類により異なることがわかった。
キーワード: 焼却飛灰,電気溶融炉,溶融塩
廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.1, pp.18-27, 1996
原稿受付 1995.4.25
* 大阪工業技術研究所
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