【論  文】

都市ごみ焼却にともなう亜酸化窒素の排出挙動

安 田 憲 二*・高 橋 通 正*

【要 旨】 都市ごみ焼却炉4施設について,N2Oの排出挙動および排出量を調査した。その結果,炉内温度とN2O排出濃度の間に負の相関が認められた。このため,炉の立ち上げや埋火時など,炉内温度が低い時にN2O濃度および排出割合が高くなった。排ガス中のCO濃度が高い施設の場合,CO濃度とN2O濃度の間に強い正の相関が認められた。また,燃焼温度が高い施設では,NOX濃度とN2O濃度との間に負の相関があった。都市ごみ焼却炉からのN2Oの生成については,気相反応による生成寄与が大きいと推測された。さらに,都市ごみ焼却炉からのN2O排出量(1990年度)を2.0〜6.8Gg-N2O/yrと推定した。この排出量は,下水汚泥焼却炉の約2倍に相当している。

キーワード: 都市ごみ焼却,亜酸化窒素,排出挙動,生成,排出量

廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.1, pp.36-41, 1996

原稿受付 1995.7.27

* 神奈川県環境科学センター

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