【特 集 :医療廃棄物をめぐる最近の動向―研究委員会研究活動(医療廃棄物部会)―】

医療廃棄物の適正処理をめざし今現場では

渡 辺   昇*

【要 旨】 「廃棄物処理法」の改正により,医療廃棄物の処理も一応制度的には整備されて来たが,感染性を強調するあまり,他の医療廃棄物についてはお座なりになりがちで,このことが感染性廃棄物の範囲や処理方法にまで影響し,肝心な適正処理に対する考え方をあいまいなものにしている。今処理の現場では,処理の質を無視した低次元での競争のみがめだち,正常な市場形成には程遠い状況といわざるを得ない。だが一方では,真の適正処理をめざし困難な状況の中で,懸命な努力を続けている人々も少なくないのである。その動きが(社)全国産業廃棄物連合会・医療廃棄物専門部会の発足であり,処理業界の危機的状況を十分認識した上での「感染性廃棄物処理の自主基準」制定であり,自己チェックリストの作成なのである。またこれを具体化するため「適正処理推進プログラム」を実施することにしている。

キーワード: 自主基準,チェックリスト,推進プログラム,適正処理業者

廃棄物学会誌,Vol. 7, No.1, pp.40-50, 1996

原稿受付 1995.11.20

* (社)全国産業廃棄物連合会 医療廃棄物専門部会長

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