【特 集 :医療廃棄物をめぐる最近の動向―研究委員会研究活動(医療廃棄物部会)―】

病院焼却炉の運転状況報告

高 月   紘*・酒 井 伸 一*・勝 井 征 三**

【要 旨】 医療廃棄物の適正処理をめざし,病院内に新型の医療廃棄物専用の焼却炉を設置し,処理運転を開始してほぼ一年を経過した。ここで焼却炉設置に向けての事前調査,焼却炉設計の基本的な考え方,処理状況,改善点などを整理し報告する。(1) 医療廃棄物の発生原単位は,2.0kg/日・床で,平均低位発熱量は,3,841kcal/kgであった。(2) 新型の竪型焼却炉の処理機能は,ほぼ満足できる結果であった。(3) CO制御を行うことによって,排ガス中のダイオキシン濃度を0.5ng/m3以下にすることができた。(4) 焼却灰については鉛対策を検討する必要がある。(5) 分別排出をはじめ,病院内での環境教育をさらに促進することが望まれる。

キーワード: 医療廃棄物,新型焼却炉,運転実績,ダイオキシン,重金属

廃棄物学会誌,Vol. 7, No.1, pp.51-57, 1996

原稿受付 1995.12.12

* 京都大学環境保全センター

** (株)プランテック

連絡先:〒606-01 京都市左京区吉田本町

京都大学環境保全センター 教授 高月  紘