【廃棄物経済部会関西研究会 部会報告】

容器包装リサイクル法の経済学的検討廃棄物学会廃棄物経済部会関西研究会*

【要 旨】 容器包装リサイクル法は,近年欧州で主流となっている生産者責任概念に基づいた廃棄物政策の一環であると捉え,そのなかでの位置づけを行った。そして,リサイクルの経済的な最適水準をめぐる議論から,容器包装リサイクル法の意義が廃棄物処理市場を資源市場に優越させることにあることを示した。この二つの市場の調整という観点から,容器包装リサイクル法に基づいて現れるであろうリサイクル過程における市場的な需給調整機能と非市場的な需給調整機能について,その特性と意義,欠陥について経済学的な分析を行った。これらを踏まえ,容器包装リサイクル法は短期的な政策目標であるリサイクルの拡大には有効であるが,なお大量リサイクル社会に至る可能性を残しており,長期的な政策目標である循環経済の観点からは,なお課題が残されていることを指摘した。

キーワード: 容器包装,生産者責任,リサイクル,市場調整,循環型社会

廃棄物学会誌,Vol. 7, No.1, pp.67-78, 1996

原稿受付 1995.12.4

* 廃棄物学会廃棄物経済部会関西研究会

連絡先:〒602 京都市上京区鳥丸今出川東入ル

同志社大学 経済学部 教授 郡嶌  孝