家庭廃棄物の発生に係る消費財消費構造の解析
大 森 友 也*・寺 島 泰**
【要 旨】 廃棄物の発生予測および制御を可能とするには,発生源における発生過程の構造を定量的に知ることが必要である。本論文では,都市廃棄物の発生源の主要部分である一般家庭について,家庭における廃棄物発生と密接な関係があると考えられる消費財消費に着目した。統計資料情報に基づいて消費財の消費実態を検討し,消費財消費に影響を及ぼす要因として世帯属性を取り上げた。そのうち「年間収入」「世帯人員」「世帯主年齢」という3種類の世帯属性を用いて統計的手法により家計消費の構造を解析し,消費財の分類別消費予測式を作成するとともに,世帯属性による家計消費予測を試みた。その結果,消費統計資料の統計的精度によって予測精度のばらつきはあるものの,かなりの精度で短期的予測が可能であることが明らかになった。
キーワード: 都市廃棄物,消費財,家計消費,廃棄物発生,予測
廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.2, pp.58-67, 1996
原稿受付 1995.4.21
* 京都市環境対策室 技官
** 京都大学工学部衛生工学科 教授
連絡先:〒606-01 京都市左京区吉田本町
京都大学工学部 衛生工学教室 産業衛生工学講座 寺島 泰