【論  文】

原料ごみ質およびプロセスの異なるRDF生産施設のエネルギー・コスト・環境影響評価

松 藤 敏 彦*・田 中 信 寿*・金   贏 載*

【要 旨】 家庭系ごみを原料とする4つのごみ燃料(RDF)生産施設,および事業系ごみを原料とする1施設について,エネルギー,コスト,環境影響を評価した。また,限られた測定データから組成ごとの物質収支を推定する方法を示した。間接投入エネルギーは建設,補修・整備,直接投入エネルギーは電力,重油の占める割合が大きいことがわかった。エネルギー収率は3施設については正であり,エネルギー的に有効なシステムであるといえる。他の2施設については乾燥効率の向上,運転の正常化が課題である。RDFtonあたりの生産コストは3〜12万円である。生産熱量Mcalあたりにすると生産コスト8〜30円であるのに対し,販売価格は0.5〜2.4円にすぎない。RDF中の重金属含有量は,原料ごみの分別,RDF生産施設における燃料化不適物の除去によって可燃ごみ中の含有量より低いレベルにある。燃焼灰の溶出試験の結果,Cd,Pbともに検出限界以下であった。

キーワード: ごみ燃料,家庭系ごみ,エネルギー評価,コスト評価,重金属含有量

廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.2, pp.68-77, 1996

原稿受付 1995.9.18

* 北海道大学工学部衛生工学科

連絡先:〒060 札幌市北区北13条西8丁目

北海道大学工学部衛生工学科 松藤 敏彦