【総  説】

都市廃棄物埋立地における汚濁物の挙動

――現象と基礎,ならびに無機汚濁物の挙動――

寺 島   泰*

【要 旨】 廃棄物埋立地設計・管理の合理化の基礎として,都市廃棄物の埋立を対象とし,システムとしての埋立地の特性,埋立地において生じる物理・化学・生物学的諸現象と作用,これらを支配する埋立廃棄物や埋立地固有の特性と内部条件ならびに影響因子を分類,記述し,さらに現象に係る作用のうち最も重要な,埋立層内において推定される好気性・嫌気性微生物作用および物理化学的作用とそれらの基礎を要約した。次いで,無機汚濁物を対象に,廃棄物中の組成と溶出性,小〜大規模充填層や実際の埋立地における溶出・浸出や層内における挙動などに関する調査・研究報告と上記の基礎に基づいて,有害性金属を中心とする金属類,カルシウムおよび塩素を中心とする無機塩類などの埋立層内挙動の特性,可能溶出量や可能浸出量,溶出率や浸出率などの埋立層安定化に係る基本量,浸出の変化,最高濃度,出現時期など浸出水管理に必要な浸出特性などを検討し,要約した。有機汚濁物の挙動,無機・有機汚濁物挙動のモデル化については次報に譲る。

キーワード: 廃棄物埋立地,物質変化,焼却残渣,有害性金属,無機塩類,溶出,浸出水

廃棄物学会誌,Vol. 7, No.2, pp.148-167, 1996

原稿受付 1996.2.13

* 京都大学工学部 教授

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京都大学工学部 衛生工学教室