安定型産廃処分場排出水の水質について
竹 内 友 規*・高 橋 敬 雄**・守 田 康 彦***・金 鍾 国****
【要 旨】 新潟県長岡市宮本町にある安定型産廃処分場(計画処分量157万m3)の排出水水質19指標と底質重金属7種の調査を92年7月〜93年11月に行った。その結果,排出水はBODが環境基準健康項目類型Eを越え,全窒素など5項目で農業用水水質基準を越えた。同定された揮発性有機塩素化合物量はTOXの1%に満たず,TOX成分の大半は不揮発性と考えられた。生分解度は,試験開始時のCOD(Cr)の約3割に留まった。排出水のマイクロトックス毒性は,無濃縮の試料では認められなかったが,pH2に調整後,1,000倍濃縮した試料で顕著に認められた。変異原性は,試料をpH2に調整後濃縮し,菌株TA100,S9mix添加の場合にのみ検出された。底質の重金属量は対照値より高かったが,Mn等は経時的に増加傾向を示し,Cr等は減少傾向を示した。調査期間を通じ,排出水の濃度,負荷量ともに漸減の傾向にあった。
キーワード: 産業廃棄物,安定型処分場,排出水質,環境影響
廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.3, pp.113-122, 1996
原稿受付 1995.6.26
* 新潟大学大学院工学研究科
** 新潟大学工学部
*** 新潟大学大学院自然科学研究科
**** 東京大学大学院工学系研究科
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新潟大学工学部建設学科 竹内 友規