ニューラルネットワークを用いた粉末汚泥溶融炉におけるコークス消費量の推算
王 家 兵*・常 深 武 志**・藤 井 岳***・市 川 宗 春**
【要 旨】 本研究では,コークス充填層型汚泥溶融炉の効率を向上させるため開発された粉末汚泥溶融プロセスにおけるコークス消費量を推定できるニューラルネットワークモデルを構築し,溶融炉の安定かつ自動操業への適用を試みた。さまざまな操作条件および測定データをもとに,ネットワークを学習させ,ネットワークパラメータ,たとえばネットワークの層数,中間層のユニット数,結合係数,および学習回数などを決定した。複雑な炉内現象を解析できる3次元数学モデルの構築に要する時間に比べてニューラルネットワークモデルの学習・解析にかかる時間はきわめて短く,簡易かつ迅速に結果が得られる。また,本研究では開発したネットワークモデルの認識能力を評価するため,ネットワークモデルによる結果は数学的モデルの結果および実際の測定結果とを対比した。その結果,ニューラルネットワークモデルは,比較的正確にコークスの消費量を予測できるので,操業条件および各センサーから得られた情報をもとに,実炉のコークス消費量の推定および供給の自動制御に適用できることがわかった。さらに,開発したネットワークモデルを用いて炉の溶融効率に強く影響を及ぼす操業条件についても検討した。
キーワード: ニューラルネットワーク,粉末汚泥,燃焼と溶融,コークス充填層,コークス比
廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.3, pp.133-141, 1996
原稿受付 1995.4.14
*(株)流体コンサルタント
**大阪ガスエンジニアリング(株)
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(株)流体コンサルタント 王 家兵