廃棄物の不法投棄による環境汚染――豊島の事例――
花 嶋 正 孝*・高 月 紘**・中 杉 修 身***
【要 旨】 豊島に不法投棄された廃棄物は,鉛,PCB,ダイオキシン類などの有害物質を含み,約46万m3のうち87%が有害廃棄物の判定基準を超えていた。廃棄物の下の地下水も鉛やベンゼンなどが水質環境基準を超え,ダイオキシン類も検出された。海域の底泥や生物には,廃棄物に起因する汚染は明確には見られないものの,地下水の流れから考えて廃棄物に含まれる有害物質が海域へ漏出しているものと判断される。
キーワード: 不法投棄,地下水汚染,周辺環境汚染,有害廃棄物
廃棄物学会誌,Vol. 7, No.3, pp.208-219, 1996
原稿受付 1996.5.2
* 福岡大学工学部 教授
** 京都大学環境保全センター 教授
*** 国立環境研究所 化学環境部長
連絡先:〒305 つくば市小野川16-2
国立環境研究所化学環境部 中杉 修身