【特 集 :汚染修復対策】

わが国における土壌・地下水汚染の修復

中 杉 修 身*

【要 旨】 わが国でも,最近になって土壌・地下水汚染の修復対策が数多く行われるようになってきた。過去には重金属による土壌汚染に対する封じ込め処理が多く行われてきたが,最近ではハロカーボンの土壌・地下水汚染の修復が行われるようになってきた。ハロカーボン汚染の修復は,当初は汚染土壌の掘削除去によって行われてきたが,最近の事例では土壌ガス吸引や地下水揚水を組み合わせて実施している例が多い。さらに,汚染土壌の掘削除去や生石灰混合などの対策も併せて実施されている。多くの事例で1ton以上のハロカーボンが除去されているが,積極的な地下水利用によって,さらに多くのハロカーボンが除去されている。廃棄物の不適正な処分に伴う汚染の修復には,特に多様な対策を組み合わせて実施する必要があるが,修復対策を進めていくには,対策を終了あるいは切り替える際の考え方を整理するなどの課題を解決する必要がある。

キーワード: 土壌・地下水汚染,修復対策,封じ込め,土壌ガス吸引,地下水揚水

廃棄物学会誌,Vol. 7, No.3, pp.220-227, 1996

原稿受付 1996.5.8

* 国立環境研究所 化学環境部長

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