【特 集 :汚染修復対策】

諸外国における土壌汚染修復の対策制度

鶴 谷 泰 二*・大 野 正 人**

【要 旨】 諸外国の土壌汚染修復対策制度をかいつまんでいえば,土壌汚染の対象としている物質については各国で異なるが,政府が法的強制力をもって修復を命じることができるいわゆる発動要件と修復目標・修復期限を,人の健康・環境への影響をリスクアセスメントに基づいて定め,修復の促進を行おうとしてきている。発動要件と修復目標についてはサイトごとに定めるアメリカ型,一律に定めるオランダ型がある。しかしながら,汚染土壌の修復をするための費用負担,修復技術の制約もあり,修復工事はこれからの課題である。さらに法律上の修復責任当事者の追求・費用負担などの問題があり実効をあげているほど成熟した制度にはなっていないのが現状である。アメリカ,オランダを中心に制度の現状を報告した。

キーワード: 土壌汚染修復,修復対策制度,リスクアセスメント

廃棄物学会誌,Vol. 7, No.3, pp.228-237, 1996

原稿受付 1996.4.22

* 住友重機械工業(株)プラント・環境事業本部開発室部長

** (株)エックス都市研究所 取締役 第三部長

連絡先:〒141 東京都品川区北品川5-9-11

住友重機械工業(株) プラント・環境事業本部 開発室部長 鶴谷 泰二