高性能旋回燃焼式流動床焼却炉の研究
清 水 信*・武 内 良 雄*・浅 井 稔*・近 藤 武 一*・内 藤 雅 信*・荒 巻 博*
【要 旨】 ごみ焼却に伴って発生するダイオキシン類は,燃焼過程で残存する有機物と塩素および酸素から合成される。したがって,ダイオキシン発生を抑制するためにはまず有機物を炉内で完全に燃焼させることが重要である。このためには,特に燃え難い固体有機物(たとえばチャー)の燃焼を促進できる炉形状や燃焼方法の適正化が重要である。都市ごみ焼却炉から発生するダイオキシン類を抑制するために,各種形状の小型焼却炉モデルを用いた基礎燃焼実験を実施し,完全燃焼に適した旋回燃焼式を選定した。さらに,20T/Dの旋回燃焼式流動床焼却炉を設置し,実証実験を行った。この結果COはppm単位で0まで低下し,ダイオキシンはバグフィルタ前で0.1ng/Nm3に低減した。さらに,完全燃焼とは相反する特性を持つ窒素酸化物についても尿素水による無触媒脱硝を試み,ダイオキシンとともにNOxの大幅な低減も可能であった。
キーワード: 都市ごみ,旋回燃焼,完全燃焼,ダイオキシン制御,NOx還元
廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.4, pp.209-217, 1996
原稿受付 1995.6.20
* 石川島播磨重工業(株)
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石川島播磨重工業(株) 技術研究所 流体燃焼研究部 浅井 稔