【特 集 :RDF(ごみ燃料)】

米国におけるRDFごみ発電の発展

阿 部   正*

【要 旨】 米国ではマスバーン方式とRDF方式によるごみ処理発電が併存し,これらの方式によるごみ処理発電プロジェクトが競争しあって,それらの総合的メリット――プロジェクトの初期投資額,稼働率,発電効率,埋立スペースの節約,大気汚染防止機器の効率等――の向上を追求している。この背景には,大規模ごみ処理プロジェクトが,私企業ベースで行われ,プロジェクトの総合的メリットと採算性が常に重視されているという事実がある。日本で現在検討されているような固形化RDFのプロジェクトで成功裏に稼働しているものはない。総合的にみて日本でも実現されるべきであると思われるプロジェクトの一つにMasschusetts州のSEMASSプロジェクトがある。日本でも米国のRDFをめぐる歴史において,単に“焼却の前に何らかの手が加えられた”という意味であるRDFが,その焼却を最も効果的にすると同時に環境にも優しい燃焼をするために炉の構造,ごみの燃焼の仕方をどう改良してきたのかについて調べて,現在のごみの固形化が果たして長期的に日本に相応しい方法であるか,再考をする必要があるのではないか。

キーワード: SEMASS,採算性,Dedicated Boiler

廃棄物学会誌,Vol. 7, No.4, pp.305-315, 1996

原稿受付 1996.6.3

* フィナンシャル カタリスト インターナショナル 代表取締役社長