【論  文】

循環式準好気性埋立における浄化機構のモデル解析

島 岡 隆 行*・末 松 峰 樹**・朴   祥 徹***・花 嶋 正 孝*

【要 旨】 準好気性埋立からの浸出水を埋立地に返送する循環式準好気性埋立は,準好気性埋立など他の埋立てに比べて浸出水中の有機汚濁物質,特に窒素成分が早期に浄化されることが確認されている。この窒素成分の分解メカニズムを明らかにするために,廃棄物層内の有機汚濁物質の分解に関する情報として,廃棄物層内浸透水の深さ方向の濃度分布を埋立模型糟を用いた実験より求めた。準好気性埋立においては浸出水集水管近傍で硝化および脱窒反応が顕著に生じ,循環式準好気性埋立では硝酸を含む浸出水を返送するため廃棄物層表層で連続的に脱窒反応が進行し,このことが浸出水中の窒素濃度を早期に低下させることを実験的に明らかにした。また,廃棄物層内の水分移動モデルとして2成分モデルを用いて,循環式準好気性埋立における有機汚濁成分の浄化機構を表現する動力学モデルを構築し,浄化機構の動力学モデルの妥当性を実測値により明らかにした。

キーワード: 循環式準好気性埋立,有機汚濁物質,脱窒,浄化機構,モデル化

廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.5, pp.234-243, 1996

原稿受付 1995.10.18

* 福岡大学工学部

** 応用地質株式会社技術本部

*** 九州大学大学院工学研究科

連絡先:〒814-80 福岡市城南区七隈8-19-1

福岡大学工学部土木工学科 島岡 隆行