BCD法によるPCB汚染土壌のラボスケール化学的浄化実験
谷 口 紳*・宮 村 彰**・海老原 章 浩***・村 上 昭 彦*・細 見 正 明*
【要 旨】 PCB汚染土壌は従来封じ込め処理のみが行われてきた。しかし,環境に対するリスクを削減させるためには,汚染土壌からPCBを除去することが望まれる。本研究は,PCB汚染土壌の処理技術として,アルカリ条件下で化学的に脱塩素するBCD法について,PCBに関する日本の土壌環境基準に対する適用可能性を明らかにすることを目的とする。土壌性状,PCB種類,およびPCB濃度レベルの異なる7種類の土壌試料を用いてラボスケールでのテストを行った結果,すべての実験において処理後土壌は,PCBにおける土壌環境基準である「溶出試験の検液中に検出されないこと(0.0005mg/l以下)」を満足した。処理後土壌中のPCB含有量は0.44μg/g以下になり,処理前土壌中のPCB含有量に対するPCB除去率は99.79%以上となった。土壌にNaHCO3を添加することにより,土壌中のPCB含有量を低減する効果が認められた。また,土壌中で一部脱塩素反応が起こっていることが示され,この機構として土壌中の有機物が水素供与体であることが示唆された。
キーワード: PCB,ポリ塩素化ビフェニル,土壌汚染,浄化,
廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.5, pp.262-269, 1996
原稿受付 1996.1.8
* 東京農工大学工学部応用化学科
** (株)荏原総合研究所環境研究所
*** (株)荏原製作所環境クリニック・センター
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(株)荏原製作所 環境事業本部 環境クリニック・センター 海老原章浩