【特 集 :溶出試験】

廃棄物の溶出特性

貴 田 晶 子*・野 馬 幸 生**

【要 旨】 廃棄物の適正処理(有害性の判定),埋立地管理および有効利用の観点からも廃棄物の溶出特性を調べることは重要である。一般廃棄物焼却灰や種々の産業廃棄物について,次のような観点から,溶出量に影響する因子に関する溶出量の変化の例を示した。(1)産業廃棄物と一般廃棄物の溶出特性の類似性,(2)産業廃棄物の種類とpHに依存した元素の溶出パターンの類似性,(3)含有量と溶出量の関係,(4)溶出試験における液固比や接触時間について。また環境庁告示法の溶出試験から得られたデータもpHとの関係を調べることにより,有益な情報となることも示した。国際的な動向は,それぞれの規制的溶出試験に加えて,廃棄物の化学的特性を把握するための統一した概念による溶出試験を薦めている。この方向性のもとに,さらに多くの種類の廃棄物についての情報が得られることが望まれる。

キーワード: 一般廃棄物,産業廃棄物,溶出試験,pH依存性溶出量,重金属

廃棄物学会誌,Vol. 7, No.5, pp.410-421, 1996

原稿受付 1996.8.14

* 広島県保健環境センター 生活環境部廃棄物科学室長

** 広島県保健環境センター 主任研究員

連絡先:〒734 広島市南区皆実町1-6-29

広島県保健環境センター 生活環境部廃棄物科学室長 貴田 晶子