【総  説】

廃棄物リサイクルと収集運搬システム

田 中   勝*

【要 旨】 都市ごみのリサイクルの促進要請とともに,分別収集,再商品化施設の導入,広域的処理の検討がされるようになったが,収集運搬システムの解析が重要である。廃棄物処理の原則は,発生抑制,リサイクルの促進,中間処理による減容化,そして適正な最終処分である。都市ごみの処理の現状を見てみると,収集後の資源化率は4.4%と低く,減量処理率は85.6%と高い。ごみ量は増加,直営の収集量は変わらず,民間の収集運搬業者のそれは増加している。ごみ処理の収集運搬に要するコストは56%を占める。リサイクルのために分別収集は急速に普及すると思われる。収集運搬システムをめぐる外部環境の変化とシステムを評価する利便性,経済性,環境負荷に影響する要因を概説した。収集運搬の改善を現状解析,影響評価,改善提案で行うことができる。

キーワード: 廃棄物,収集運搬,リサイクル,分別収集,容器包装リサイクル法

廃棄物学会誌,Vol. 7, No.5, pp.422-433, 1996

原稿受付 1996.8.27

* 国立公衆衛生院 廃棄物工学部

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