【論  文】

焼却灰炭酸中和溶出液中硫酸塩還元反応に対する灰特性および植種の影響

宮 脇 健太郎*・田 中 信 寿**・松 藤 敏 彦**

【要 旨】 ごみの焼却比率の増加とともに,廃棄物埋立地中の重金属による環境汚染ポテンシャルが高くなっている。筆者らは,焼却灰溶出液中の微生物学的硫酸塩還元における温度,pH, ORP, TOCなどの環境条件の影響について研究を行ってきている。本研究では,8つの施設の灰を用いて焼却灰溶出液中での硫酸塩還元反応における灰特性および植種の影響について検討した。その結果,炭酸中和焼却灰溶出液中での硫酸塩還元反応は,灰溶出液中のTOCが約200mg/Lのときに十分進行した。そして,菌数の多い下水消化槽汚泥を植種として与えたとき硫酸塩還元反応が活発に進行した。また,その反応は主に乳酸資化性(不完全酸化)の硫酸塩還元反応であった。

キーワード: 硫酸塩還元菌,焼却灰,重金属固定,灰溶出液

廃棄物学会論文誌,Vol. 7, No.6, pp.312-319, 1996

原稿受付 1996.3.18

* 福岡大学工学部土木工学科

** 北海道大学工学部衛生工学科

連絡先:〒814-80 福岡市城南区七隈8-19-1

福岡大学工学部土木工学科 宮脇健太郎