【特 集:循環型社会構築に向けての廃棄物経済の課題と展望―研究委員会研究活動(経済部会)―】

これからの環境保全活動

山 口 耕 二*

【要 旨】 これからの環境保全活動は,今までとはまさに様変わりした内容や行動が求められている。行政では,廃棄物に関する現状問題点を直視した廃棄物処理法の改正やリサイクル支援法の拡大的な適用がある。産業界でも,経団連が7月に発表した環境アピールで判るように,循環型社会づくりに向け一歩を踏み出した。このアピールでは,廃棄物を資源・副産物と位置付け資源の効率的な利用を各企業に呼び掛けている。国際的な視点では,今まで技術標準を作成してきた国際標準化機構が,環境に関する国際規格づくりに着手し環境管理システムとそれをチェックするための環境監査に関する規格を発行した。当社においては,廃棄物ゼロ運動を全社的な目標と設定し11年前から実施しており,大きな成果を出している。このように,環境問題のなかで,廃棄物の削減再資源化は環境保全の基本であり,また全社的な活動を展開するのに最も取り組みやすいテーマの一つである。

キーワード: 廃掃法改正,廃製品回収リサイクル,経団連アピール,廃棄物ゼロ運動,環境管理システム

廃棄物学会誌,Vol. 7, No.6, pp.474-479, 1996

原稿受付 1996.10.16

* 日本電気株式会社 環境管理部長

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