【論  文】

実用的な生ごみの脱水処理技術とコンポスト化システム

恵 谷   浩*

【要 旨】 高水分の生ごみを好気性発酵させコンポスト化する新規な実用的脱水処理技術とシステムを開発した。含水率約80〜88%の生ごみを試料として実験を行い,粒度5mmに破砕し数日間通性嫌気性前処理した後,面荷重約2kg/cm2で加圧脱水するとよく脱水できることが明らかになった。効果的に脱水できた原因は,嫌気性発酵で生ごみがある程度分解し破砕片内部の水分が容易に外部にでてくるためと推察された。その後,通性嫌気性前処理を生ごみ処理能力500kg/dayの試験プラントに適用し,二軸せん断式破砕機,横型ドラムパドル式通性嫌気性前処理槽,スクリュープレス式脱水装置および密閉横型スクープ式発酵装置を備えたコンポスト化システムが有効であることを検証した。破砕生ごみを単に数日間,通性嫌気性条件下に置くことで脱水効率は飛躍的に向上し,従来技術では不可欠であった水分調整資材,乾燥エネルギーなどを必要としないコンポスト化が可能であることを確かめた。

キーワード: 生ごみ,脱水,通性嫌気性,好気性発酵,コンポスト

廃棄物学会論文誌,Vol. 8, No.2, pp.71-80, 1997

原稿受付 1996.4.9

* (財)クリーン・ジャパン・センター 生活・産業廃棄物等高度処理技術推進本部 バイオ生ゴミ処理技術プロジェクト 部長

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