【特 集 :有害化学物質管理と廃棄物】

有害化学物質管理の国内外の動向

浦 野 紘 平*

【要 旨】 1992年に開かれた国連環境開発会議(地球サミット)のアジェンダ21をきっかけに,化学物質の環境安全管理制度が国際的に大きく動き出している。とくに,OECDの環境汚染物質排出・移動登録(PRTR)およびISOの環境管理や環境監査では,事業者が多数の有害化学物質の環境安全管理を自主的に行い,その状況を第三者が評価できる制度を求めている。日本が国際社会の中で信頼を得るためには,これらの制度を適切に導入し,定着させることが不可欠である。このため,日本でも環境基本法の制定を機に,大気汚染防止法の改正やPRTR制度の導入の検討が進められており,また,先進的な自治体や企業では,既に多数の有害化学物質の自主的な管理が進められている。本稿では,これらの動きを整理して紹介し,今後の方向を示した。

キーワード: 化学物質,自主管理,PRTR,環境安全管理

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.2, pp.98-106, 1997

原稿受付 1997.2.3

* 横浜国立大学物質工学科 環境安全工学研究室 教授

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