【特 集 :有害化学物質管理と廃棄物】

環境汚染物質の排出・移動登録(PRTR)制度について

内 藤 克 彦*

【要 旨】 化学物質は現代社会においては,なくてはならないものとなっているが,環境中に放出されて環境汚染の原因となっているものも多数ある。また,発がん性,生殖毒性,免疫毒性などのように微量の化学物質の長期間にわたる影響への対応が必要となってきている。OECDからその導入について勧告の出されたPRTR(環境汚染物質排出・移動登録)制度は,現在のところ国によってその取り組みは異なるが,有害化学物質の管理手法として有力なものである。本稿では,このPRTR制度の導入を検討している政府を対象に,OECDが編集した導入ガイダンスである「政府手引きマニュアル」および「付属書」に沿ってこの制度の概要を紹介した。

キーワード: PRTR,有害化学物質,政府手引きマニュアル,付属書

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.2, pp.107-112, 1997

原稿受付 1996.12.26

* 環境庁企画調整局環境保健部環境安全課 課長補佐

連絡先:〒100 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2