都市ごみ焼却飛灰の溶出毒性におよぼす溶出条件の影響
池 田 太*・金 子 栄 廣*
【要 旨】 都市ごみ焼却飛灰の溶出毒性をミジンコ急性毒性試験によって評価するための溶出操作条件(固液比とpH)の影響について検討した。固液比1w/v%と10w/v%で作成した飛灰溶出液を試料として化学的分析ならびに急性毒性試験を行った結果,固液比1w/v%の方が単位飛灰あたりの溶出毒性が大きくなり,より安全側で評価できることがわかった。また,固液比1w/v%でpH=4, 7, 12の条件下で作成した飛灰溶出液の毒性を調べた結果,pH=4のときの毒性が最も強かった。しかし,鉛に関してはpH=12での溶出量が最も大きかったことから,低pHだけでなく高pH条件下でも溶出操作を行うことが望ましいことがわかった。また,毒性のpH依存性についての検討結果からは,各pH条件で作成した溶出液の主要毒性成分はいずれも重金属であることが推測できた。特に,pH=4で溶出させたときには銅,pH=12で溶出させたときには鉛が主要毒性成分になると考えられた。
キーワード: 焼却飛灰,溶出毒性,溶出条件,ミジンコ急性毒性試験
廃棄物学会論文誌,Vol. 8, No.2, pp.107-114, 1997
原稿受付 1996.6.3
* 山梨大学工学部(現(株)荏原製作所)
** 山梨大学工学部
連絡先:〒400 山梨県甲府市武田4-3-11
山梨大学工学部土木環境工学科 金子 栄廣