【特 集 :有害化学物質管理と廃棄物】

化学物質安全データシート(MSDS)と廃棄物

合 間 敬 三*

【要 旨】 化学物質の開発から製造・流通・使用から廃棄に至るまで総合的に安全管理していくことが大切である。化学産業界では企業の自主的な総合安全管理を実施するためにレスポンシブル・ケア活動を推進している。化学物質の安全管理を取り巻く背景と国内外の動向を考察し,化学物質の総合安全管理の重要性を述べた。情報交換手段としてのMSDSは総合安全管理の重要な柱の1つである。わが国では,平成5年3月26日付けの厚生省・通商産業省告示「化学物質の安全性に係る情報提供に関する指針」および平成4年7月1日付けの労働省告示「化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針」に基づいてMSDS制度が実施されている。これに先だって,日本化学工業協会は,平成4年8月に「製品安全データシートの作成指針」を発表し,MSDSの標準様式を設定した。その後,内容の充実を含めてMSDS制度の普及を進めている。MSDSについて日本の制度を中心に解説した。化学物質の取扱い者はその様式,作成者,作成対象を理解し,MSDSを十分に活用することが重要である。当然ながら,廃棄物についても安全管理は必要であり,特に化学物質を含有する廃棄物はその作成対象である場合が多く,MSDSを利用して総合的に安全管理することが求められている。

キーワード: 化学物質総合安全管理,レスポンシブル・ケア活動,MSDS,製品安全データシートの作成指針

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.2, pp.119-127, 1997

原稿受付 1997.1.31

* (社)日本化学工業協会 化学物質総合安全管理センター

連絡先:〒100 東京都千代田区霞ケ関3-2-6