【特 集 :有害化学物質管理と廃棄物】

有害化学物質管理と情報公開

中 地 重 晴*

【要 旨】 市民にとって有害化学物質管理をどう進めていくのか,市民の知る権利との関係を検討した。有害化学物質の永久保管場所として廃棄物最終処分場を位置づければ,周辺環境汚染を引き起こしている事例が多い。また,現行の情報公開制度では不十分である。有害化学物質管理を進めていくために,市民の知る権利は国際的には確立している。OECDはPRTRの制度化を加盟国に勧告している。欧米ではPRTR制度の運用に際し,NGOも情報公開や環境教育のために重要な役割を果たしている。日本でもPRTRを導入する必要性があり,その課題として農薬や化学物質の使用用途の変更,ごみ焼却炉からのダイオキシン排出問題などがあり,これらの情報公開と市民の知る権利の確立を早急にめざすべきである。

キーワード: 情報公開,市民の知る権利,周辺環境汚染,環境管理・監査,環境汚染物質排出・移動登録

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.2, pp.139-148, 1997

原稿受付 1997.1.14

* 環境監視研究所 研究員

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