【論  文】

二回流式ごみ焼却炉の二次燃焼室内における混合と燃焼

久々津 寿 彦*・川 口   修**・渋 谷 榮 一***

【要 旨】 ストーカ式都市ごみ焼却炉の二次燃焼領域で生成されるダイオキシン類の低減のために,ストーカで発生する燃焼ガスを,乾燥段で発生するCOを多く含む燃焼ガスと,後燃焼段で発生するO2を多く含む燃焼ガスの二噴流に分離し,下流の二次燃焼領域で衝突,混合させて燃焼の促進を図る二回流式燃焼技術について,二種類の燃焼ガス噴流の条件と二次燃焼領域内の混合,燃焼の過程との関係を明らかにした。実験は,実炉の縮小したモデル炉を用いて,ダイオキシン類と正の相関のあるCO濃度の挙動に注目した燃焼実験を実施し,流れの数値シミュレーションでモデル炉内流れの様子を把握した。さらにコールドモデルで,実炉内の流れについて調べた。その結果,二次燃焼室内二回流の混合状態は代表流速,流量の割合等の影響を受け,混合を促進する条件とすることで炉内のCO濃度は低減し,ダイオキシン低減の可能性があることを明らかにした。

キーワード: 二回流式ごみ焼却炉,ダイオキシン,混合過程,燃焼過程,CO濃度

廃棄物学会論文誌,Vol. 8, No.4, pp.138-146, 1997

原稿受付 1995.12.25

* 慶応義塾大学大学院(現在川崎製鉄(株))

** 慶応義塾大学理工学部

*** NKK(日本鋼管株式会社)

連絡先:〒223 横浜市港北区日吉3-14-1

慶応義塾大学理工学部 川口 修