【論  文】

準好気性埋立廃棄物層における汚濁物質挙動のシミュレーションと影響因子の検討

朴   祥 徹*・楠 田 哲 也*・島 岡 隆 行**・花 嶋 正 孝**

【要 旨】 準好気性埋立廃棄物層における有機態炭素および有機態窒素の質変換過程をモデル化した。次いで,モデルの妥当性を埋立模型槽での実験結果をもとに検討し,層内の物質変換過程を明らかにするとともに浸出水量・水質の予測を可能にした。本モデルは三相モデルであり,固相からの汚濁成分の溶出,液相での微生物分解,移流・分散,液相内での交換輸送,気液相間輸送,気相での移流・拡散過程を考慮している。微生物代謝は好気性分解ならびに酸生成過程とメタン生成過程からなる嫌気性分解からなるとし,アルカリ度で表現したpH,熱収支から求められる温度が増殖速度を支配するとした。シミュレーション結果によると,準好気性埋立廃棄物層の上層部では有機汚濁成分の溶出が,中層部では嫌気性分解が,下層部では有機炭素の分解および硝化・脱窒速度が大きくなっている。また,上下層部,特に下層部の好気性層が,浸出水の水質の改善に大きく寄与している。

キーワード: 廃棄物,準好気性埋立,物質変換,モデル化,シミュレーション,有機態炭素,無機態窒素

廃棄物学会論文誌,Vol. 8, No.4, pp.147-156, 1997

原稿受付 1996.5.7

* 九州大学工学部建設都市工学科

** 福岡大学工学部土木工学科

連絡先:〒812-81 福岡市東区箱崎6-10-1

九州大学工学部建設都市工学科 楠田 哲也