【特 集 :ダイオキシン問題】

自治体におけるダイオキシン対策への取り組み

中 村 一 夫*

【要 旨】 京都市のダイオキシン対策への取り組みは,1979年にAnalytical Chemistryで,京都市の2つの清掃工場のフライアッシュからダイオキシンが検出されたと報告された時点から始まった。これを受けて,1980年代に,京都市では,京都大学やプラント・分析メーカー等の協力を得て,ダイオキシンの分析方法や削減技術の調査・研究を実施してきた。1990年12月に厚生省より「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン」が出され,これを受けて,京都市では正式なダイオキシンの実態調査を実施し,その調査結果を公表した。京都市における既設の清掃工場のダイオキシン削減対策は,主に運転管理の強化および適正化と既設炉の改造により,ダイオキシンや一酸化炭素等の低減化を図ってきた。1996年の新規清掃工場の建設計画に際しては,最新の欧米の規制動向や最新の焼却および排ガス処理技術を導入し,ダイオキシンの排ガス基準として0.1ng-TEQ/N?というより厳しい自主基準を設定してきた。本稿では,主に京都市のダイオキシンの削減対策の具体事例を紹介するとともに,ダイオキシン問題の根本的な解決に向けた今後の取り組みとして,将来の望ましいごみ処理のあり方についての一考察も加えた。

キーワード: ダイオキシン類,ダイオキシン対策,既設炉,新設炉,京都市

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.4, pp.289-300, 1997

原稿受付 1997.5.2

* 京都市清掃局ごみ減量リサイクル推進室 廃棄物関連総合調査担当 課長補佐

連絡先:〒604 京都市中京区寺町御池上る