ダイオキシン類の環境汚染とリスク評価
宮 田 秀 明*
【要 旨】 ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDDs),ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs),コプラナーPCB(Co-PCBs)を含むダイオキシン類はいずれも極めて強い毒性を有する有機塩素系環境汚染物質である。そのために,環境レベルの汚染において人体にホルモン的な障害を与え,また,生殖障害を引き起こす可能性が強く指摘されている。したがって,近年,欧米諸国において環境汚染軽減対策が急速に進められている。上記の観点から,本論文においてはわれわれや国内外の研究成果を通して,ダイオキシン類の生体影響や環境汚染の現状およびその問題点を解説するとともに,現在の環境汚染に伴うリスク評価を試みた。また,厚生省や諸外国の耐容一日摂取量(TDI)の設定根拠についても言及した。
キーワード: ダイオキシン類,毒性,環境汚染,耐容一日摂取量,環境リスク評価
廃棄物学会誌,Vol. 8, No.4, pp.301-311, 1997
原稿受付 1997.5.16
* 摂南大学薬学部教授
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