【論  文】

都市ごみの焼却にともなう窒素酸化物の排出挙動

――実験用焼却炉による基礎的研究――

安 田 憲 二*・大 塚 幸 雄**

【要 旨】 都市ごみの燃焼にともなうThermal NOxとFuel NOxの排出挙動を定量的に把握するため,窒素含有量が異なるように組成を調整した都市ごみを用いてパイロットスケールの実験炉による燃焼実験を行った。その結果,Fuel NOxの変換率は燃焼温度およびO2濃度が高くなるほど増大した。また,ごみの燃焼実験におけるFuel NOxの変換率は1.7〜9.3%であり,化石燃料を燃焼しているボイラでの変換率(30%程度)と比べて1/3以下と小さかった。燃焼域でのO2濃度を低くすることによりFuel NOxだけでなくThermal NOxの排出も抑制できる。特にFuel NOxの低減率はThermal NOxに比べて2倍から5倍高かった。さらに燃焼温度との関係では,Thermal NOxの方がFuel NOxよりも強い温度依存性を示した。

キーワード: Thermal NOx,Fuel NOx,排出挙動,変換率,都市ごみ焼却

廃棄物学会論文誌,Vol. 8, No.5, pp.217-224, 1997

原稿受付 1996.10.24 * 神奈川県環境科学センター

連絡先:〒241 横浜市旭区南希望が丘88-5

神奈川県環境科学センター 安田 憲二