【特 集 :産業廃棄物】

法改正と今後の産業廃棄物処理

鈴 木 勇 吉*

【要 旨】 産業廃棄物の適正処理を確保するためには,法制の適確性と産業廃棄物処理の経済システム確立が不可欠である。法改正にあたっては,問題点先送りの弊を改め,地球環境維持に即した規制を厳しく取り入れ法制そのものの適確化を計ることが大切である。廃棄物の処理の問題に関しては,物が生産から廃棄に至るまでの経済全体の中で確実に把握され,処理体制の経済システムが確立されねばならない。減量化やリサイクルを推進するについても,環境を維持保全するためには必要なコストは支出されねばならないという認識を前提にして,費用低減を合理的に実行する方向で促進されるのでなければならない。今回の法改正では,産業廃棄物処理施設の設置手続の明確化やマニフェストの使用義務の拡大,罰則強化等の不法投棄防止対策,不法投棄廃棄物の原状回復措置等重要項目が含まれているが,今後,政省令のなかでどのように具体化がみられるのか重大な関心を持っているところである。

キーワード: 処理施設設置手続の明確化,処理施設の情報公開,不法投棄と排出事業責任,地球環境維持と成熟社会

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.5, pp.376-379, 1997

原稿受付 1997.6.18

* (社)全国産業廃棄物連合会 会長

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