【論  文】

都市ごみ焼却排ガスの高度処理を目的とした活性コークスの吸着および脱硝特性

川 本 克 也*・木 村 哲 雄**・佐 藤  淳**

【要 旨】 ごみ焼却排ガス中の多様な汚染物質の一括処理を可能とする処理システムの確立を目的として,活性コークスの基礎的特性を検討した。低温での脱硝・脱硫触媒として開発された活性コークスが,ごみ焼却排ガスに対してどのような脱硝性能を示すのか,また炭素系素材であることから同時に微量有機化合物に対してどのような吸着特性を有するのかを室内実験およびパイロット実験により明らかにした。吸着特性に関しては,吸着質に1,2-ジクロロベンゼンを用いた高濃度試験より,平衡吸着量は活性炭と比較して約1/10であること,120℃以上においては30℃の温度上昇に伴って吸着量が約40%減少すること,ガス中に水分が共存することにより平衡吸着量は低下するが,水分濃度20および40%(v/v)の場合における影響はほぼ同一とみなせることを明らかにした。また,吸着質に1,2,3,4-テトラクロロベンゼンを用いた低濃度試験より,破過時間に対する温度およびSVの影響を定量的に明らかにしたほか,ppbレベルでの平衡吸着量を求めた。脱硝特性に関しては,NOx除去率は温度の上昇とともに,またSVの低下とともに向上することを定量的に明らかにし,また,200℃以下で60%以上の除去率が長期にわたって十分に達成されることを示した。

キーワード: 排ガス高度処理,活性コークス,微量有機化合物,吸着,脱硝

廃棄物学会論文誌,Vol. 8, No.6, pp.241-250, 1997

原稿受付 1996.12.12

* 関東学院大学工学部

** (株)クボタ

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工学部建築設備工学科 川本 克也