焼却灰を配合材として用いた廃プラスティックの再生利用に関する研究
朴 相 粛*・荒 木 宏 之*
【要 旨】 廃プラスティックのうち力学的強度が比較的弱い低密度ポリエチレン樹脂に汚泥焼却灰を添加し再生したプラスティック材料の物性および強度特性の変化を調べ,再利用の可能性を検討した。その結果,焼却灰の混合比が20%までは灰粒子が十分に分散され,樹脂の結晶部分の割合が増加し材料としての物性が向上するが,それ以上では結晶部分が集中し,むしろ材料としての物性は低下することが明らかとなった。特に,焼却灰混合比が40%,50%の場合,比較的大きな空隙および多数の小孔が存在することがSEM写真から確かめられ,24時間吸水率の増加など物性低下の原因であるとことがわかった。また,力学的試験から20%〜30%程度の焼却灰混合比の場合に,圧縮強度,引張強度,曲げ強度ともに最大強度を示すことが明らかとなった。これらの結果は通常用いられるコンクリートの設計基準強度に比べ十分に高い値であり,建設材料として再利用することができると考えられる。
キーワード: 再生プラスティック,焼却灰,再利用,建設材料,低密度ポリエチレン
廃棄物学会論文誌,Vol. 8, No.6, pp.270-279, 1997
原稿受付 1996.9.20
* 佐賀大学低平地防災研究センター
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佐賀大学低平地防災研究センター 荒木 宏之