【論  文】

人工ゼオライト原料としての石炭フライアッシュの成分組成について

目 黒   勝*・春 名 淳 介**・野 田 多美夫*・金 丸 辰 也*

【要 旨】 石炭火力発電の廃棄物である石炭フライアッシュをアルカリ処理することにより,陽イオン交換能,すなわち陽イオン交換容量を有する人工ゼオライトが生成する。大きな陽イオン交換容量をもつ人工ゼオライトが生成する石炭フライアッシュの成分組成を明らかにするとともに,その処理条件についても検討した。主な結果は以下の通りである。(1)人工ゼオライトの陽イオン交換容量は石炭フライアッシュ中の非晶質Al2O3含有量に依存する。(2)フライアッシュ中のAl2O3含有量あるいはNa2O+K2O含有量が増加するにしたがって非晶質Al2O3含有量が増加し,それより生成した人工ゼオライトの陽イオン交換容量も増加する。(3)石炭フライアッシュのアルカリ処理過程でAl源を添加することにより陽イオン交換容量の大きな人工ゼオライトが生成する。

キーワード: 石炭フライアッシュ,化学成分,ゼオライト,アルカリ処理,陽イオン交換容量

廃棄物学会論文誌,Vol. 8, No.6, pp.280-287, 1997

原稿受付 1995.5.11

原稿受付 1995.5.11

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新日本製鐵(株)名古屋技術研究部 目黒 勝