【特 集 :温暖化問題と廃棄物】

地球規模での廃棄物処理――温暖化防止にむけた研究

西 岡 秀 三*

【要 旨】 温暖化防止は,温室効果ガスという地球規模での廃棄物をどう処理するかの問題である。また,その対策の基本的な考え方においては,エネルギーのみでなく「もの」の流れに注目することが重要である点でも,廃棄物の知見が有用である。最近の科学的研究の集約により,人為的原因による温暖化の進行が確認されつつあり,地球気候やその影響を持つ性格も明らかになってきている。温暖化問題への取り組みには社会システムの変更にともなう地球規模の長期的な視点が必要であるが,対策が遅れを伴うことを考慮すると既存の社会・技術システムを前提とした早期の短期的な取り組みも同時に必要である。廃棄物の分野でも,二酸化炭素やメタン,亜酸化窒素の発生源の同定と抑制技術開発研究がはじまっているが,一般に分散型で次空間依存性が高い分野であるため,まだ十分の研究がすすんでいるとはいえず,今後の進展が待たれている。

キーワード: 温暖化,マテリアルフロー,温室効果ガス,発生源同定,排出抑制技術

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.6, pp.421-431, 1997

原稿受付 1997.8.27

* 国立環境研究所 統括研究官

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