【特 集 :温暖化問題と廃棄物】

廃棄物の焼却にともなう温室効果ガスの排出状況

安 田 憲 二*

【要 旨】 廃棄物の焼却処理にともなうCO2,CH4およびN2Oの排出状況について調査,検討を行った。その結果,1993年度における廃棄物焼却炉からのCO2排出量は12,653Gg-C(46,395Gg-CO2)と推定された。これは同年度の人為発生源全体の約3.6%に相当している。また,1993年度に廃棄物焼却炉から排出されたCH4の量は13.1Gg-CH4と算定された。この排出量は人為発生源からのCH4排出量に対して僅か1%を占めるにすぎない。廃棄物の焼却にともなうN2Oの排出については,汚泥焼却時に高濃度となった。炉形式別では,流動床炉で濃度が高くなる傾向が認められた。1993年度における廃棄物焼却炉からのN2O排出量は7.6Gg-N2Oと推定され,同年度における人為発生源全体の約10%近くを占めるなど,排出割合が他のガスの場合と比べて高かった。

キーワード: 温室効果ガス,廃棄物焼却,排出係数,排出,排出割合

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.6, pp.432-437, 1997

原稿受付 1997.8.8

* 神奈川県環境科学センター 専門研究員

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