写真廃液中に含まれる成分のフェントン処理および生分解性の評価
横 井 亜 希*・太 野 公 人*・林 彬 勒*・細 見 正 明*・村 上 昭 彦*
【要 旨】 写真廃液はEDTA,CD-4のような難分解性有機化学物質を多量に含むため,単一処理は難しい。フェントン処理とは,Feイオンが触媒として存在下で,強力な酸化剤である。OHを生成する反応であり,写真廃液処理に,化学酸化→生物処理プロセスは有効であると思われる。そこで,本研究では写真廃液中に含まれる20種類の化学物質(メトール等)のフェントン分解性と,その後の生物処理において生分解率の測定から,フェントン処理が生分解性に与える効果を評価した。また,逆プロセス(生物処理→フェントン処理)の効果も検討した。その結果,各物質はフェントン酸化によりDOCの30〜50%程度除去され,その後100時間の生物処理により,DOC90%以上の除去ができた。また,逆プロセスによる除去率は(EDTAを除いて)60%程度であった。よって難分解性有機化合物はフェントン処理により,易分解性物質へと変換したものと考えられた。
キーワード: 写真廃液,難分解性物質,フェントン処理,生物処理,生分解性
廃棄物学会論文誌,Vol. 8, No.7, pp.342-347, 1997
原稿受付 1997.2.25
* 東京農工大学大学院 工学部化学工学科
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東京農工大学大学院 工学部化学工学科 横井 亜希