【特 集:埋立地における高塩類問題と技術的対応―研究委員会研究活動(埋立処理処分部会)―】

都市ごみ埋立地における埋立物の無機化と高塩類問題

田 中 信 寿*・花 嶋 正 孝**

【要 旨】 都市ごみ埋立地における高塩類問題は焼却中心のごみ処理に起因する。これによって困難を来していた浸出水処理の技術的課題はほぼ解決された。しかし,今後焼却残渣以外にも無機物が投入され,無機化の傾向はさらに強まるので,従来の埋立処分場に期待されていた有機性廃棄物の保管処理機能を根本から考え直さなければならなくなった。さらに,このような焼却灰や破砕選別残渣による無機化は,一般廃棄物処分場や管理型産業廃棄物処分場では無害な廃棄物が処分されるという前提についても検討を迫っている。可溶化可能性の高い金属類を高含有濃度で含む埋立物の長期保管と安定化を目指して埋立地反応器技術を追求するか,あるいは埋立物の徹底的な安定化を行う埋立前処理を前提にした最終安定物埋立処分を目指すのか,慎重に考えなければならない。

キーワード: 都市ごみ埋立地,埋立物無機化,埋立地反応器,最終安定物処分,高塩分問題

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.7, pp.481-485, 1997

原稿受付 1997.10.27

* 北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻 教授

** 福岡大学工学部土木工学科 教授

連絡先:〒060 札幌市北区北13条西8丁目

北海道大学 田中 信寿