【特 集:埋立地における高塩類問題と技術的対応―研究委員会研究活動(埋立処理処分部会)―】

データから見た高塩類問題の原因と将来

松 藤 敏 彦*

【要 旨】 埋立地における高塩類濃度問題の原因を,既存の研究と関連データ収集によって検討した。主な結論は,以下のとおりである。1)ごみ中のプラスチック割合は増加しているが,高塩類濃度の原因とされているプラスチック中のPVCの割合は逆に減少している。2)焼却灰中に残留する可能性のある残留性塩素のうち80%は,厨芥など,プラスチック以外のものに由来している。したがって,高塩類問題の第一の原因は,焼却による無機化・可溶化であるといえる。3)焼却灰埋め立てであっても,浸出水中の塩素濃度は,埋立方法により大きく異なる可能性がある。4)埋立地への飛灰の搬入がなくなれば塩素濃度は1/3に低下するが,ごみ中のカルシウムの2/3は焼却灰に残留するためカルシウム問題は残る。

キーワード: 高塩類問題,浸出水,焼却残渣,プラスチック

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.7, pp.493-499, 1997

原稿受付 1997.10.14

* 北海道大学大学院工学研究科 環境資源工学専攻

廃棄物処分工学分野 助教授

連絡先:〒060 札幌市北区北13条西8丁目