【特 集:埋立地における高塩類問題と技術的対応―研究委員会研究活動(埋立処理処分部会)―】

焼却残渣中の易溶性元素の溶出特性

貴 田 晶 子*・野 馬 幸 生*

【要 旨】 焼却残渣中のナトリウム,カリウム,カルシウム,塩素,硫酸基について,焼却施設内,施設間の濃度のばらつきや平均的含有量,そしてバッチ溶出試験,カラム溶出試験,pH依存性試験により各条件下の溶出量を求めた。硫酸カルシウムと水酸化カルシウムを多く含む焼却飛灰は,これらの溶解度の制限を受け,液固比10の告示法溶出試験によって溶出可能量を求めることができない場合があり,高い液固比によるバッチ試験の必要性を示した。カラム試験の結果,溶出は3段階にわかれる。ナトリウム,カリウム,塩素濃度がカルシウムや硫酸基濃度より高い初期溶出,カルシウムと硫酸濃度が優勢になる中期,カルシウム濃度が主成分となる後期である。液固比1に相当する埋立地を想定し,易溶性元素の溶出量を推定した。埋立地の濃度と比較すると,カルシウム濃度や硫酸濃度は低いが塩濃度として一致する埋立地もあった。

キーワード: 塩類,溶出試験,カラム試験,液固比,カルシウム

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.7, pp.500-509, 1997

原稿受付 1997.10.28

* 広島県保健環境センター

連絡先:〒734 広島市南区皆実町1丁目6-29

広島県保健環境センター 貴田 晶子