浸出水流出特性と埋立地建設への課題
松 藤 康 司*・島 岡 隆 行**
【要 旨】 埋立地が本格的に研究され始めた1960年代後半,埋立地の汚染問題の主体は浸出汚水中の有機汚濁物質であり,高BOD, COD, T-N,低pH,臭気等々であった。しかし,中間処理技術とくに焼却処理の導入の結果,埋立地に搬入される廃棄物の組成も急変し,浸出水の質も変化し,低BOD対応から,高T-Nそして,合成化学物質や,未規制物質への対応へと大きく変化している。また,ごみの焼却率が高まるにつれて,焼却残渣が主体として処分される埋立地からの浸出水は,高濃度に無機塩類を含む傾向にある。そのことが浸出水処理施設を始め,最終処分場の維持管理への弊害や,周辺環境や生態にも悪影響をおよぼしている。ここでは,埋立地からの無機塩類流出特性について要約した。
キーワード: 無機塩類,焼却残渣主体埋立地,浸出水水質
廃棄物学会誌,Vol. 8, No.7, pp.510-522, 1997
原稿受付 1997.10.21
* 福岡大学工学部 教授
** 福岡大学工学部 助教授
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福岡大学工学部土木工学科 松藤 康司