【特 集:埋立地における高塩類問題と技術的対応―研究委員会研究活動(埋立処理処分部会)―】

高塩類浸出水の処理技術

堀 井 安 雄*・樋 口 壮太郎**・島 岡 隆 行***・花 嶋 正 孝****

【要 旨】 近年,焼却処理の高度化に伴い,焼却残渣中に含有する無機塩類が高濃度となり,浸出水中の無機塩類濃度を上昇させている。特にカルシウムと塩素の濃度が高濃度となり水処理施設内でのスケール障害や,放流先での塩害などが発生している。本文は,このような無機塩類問題に対応するためスケール対策や塩類除去対策を行いその成果をまとめたものである。信頼性が高く確実にスケール障害が防止できる対策としては,凝集剤併用型のライムソーダ法であることを実験により明らかにした。一方,塩類除去については,電気透析法と逆浸透法の実証試験機により浸出水の脱塩処理実験を行い,処理性能,回収率等について比較検討した。その脱塩処理過程で発生する濃縮水の再利用技術として,電解装置による次亜塩素酸ソーダの生成やバイポーラ膜分離装置による酸・アルカリ回収の開発実験等を行い,有効利用できる次亜塩素酸ソーダや酸・アルカリの生成を確認した。

キーワード: 浸出水処理,スケール対策,脱塩処理,電気透析,無機塩類利用

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.7, pp.529-539, 1997

原稿受付 1997.11.17

* (株)クボタ 上下水プラント技術第2部 副部長,主任技師

** 日本技術開発(株) 東京支社環境施設部 部長

*** 福岡大学工学部 助教授

**** 福岡大学工学部 教授

連絡先:〒556 大阪市浪速区敷津東1丁目2番47号

(株)クボタ 堀井 安雄