【特 集:埋立地における高塩類問題と技術的対応―研究委員会研究活動(埋立処理処分部会)―】

浸出水処理への膜分離法の適用

寺 島   泰*・尾 崎 博 明**

【要 旨】 既存の埋立地浸出水処理プロセスでは,塩害や機器腐食の発生の原因となる無機塩類をほとんど除去することができない。一方,水処理分野において多く用いられるようになってきた膜分離法は,塩類のみでなく,難分解性有機物や有害物質の除去が可能であり,高度な浸出水処理への適用が期待されている。本稿では,逆浸透法,限外ろ過法,精密ろ過法などの膜分離法の概要とそれらの排水処理への応用の現状について記述するとともに,同法の浸出水処理への適用方法と適用例を紹介した。また,著者らによる膜分離法による浸出水処理試験結果を示し,低圧逆浸透法が塩類と難分解性有機物の除去に有効であることを明らかにした上で,低圧逆浸透法や超低圧逆浸透法などの膜分離法と,生物処理法または凝集法との組合せによる新しい浸出水処理方法を提案した。さらに,膜分離法の欠点に言及し,今後さらに検討すべき課題について指摘した。

キーワード: 埋立地浸出水,塩類除去,膜分離法,低圧逆浸透法,難分解性有機物

廃棄物学会誌,Vol. 8, No.7, pp.547-552, 1997

原稿受付 1997.10.13

* 京都大学大学院工学研究科環境工学専攻 教授

** 京都大学大学院工学研究科環境工学専攻 助教授

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寺島  泰