【調査報告】

塩素系溶剤の再生施設と分解施設の実態

浦 野 紘 平*・木 村 ちづの*・小 林   剛*

【要 旨】 塩素系溶剤は,土壌・地下水汚染,大気汚染およびオゾン層破壊等を引き起こすものがあるため,使用規制が厳しくなってきた。しかし,ジクロロメタン,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレンなどを中心に20万ton以上の消費が続いている。これらによる環境汚染負荷を極力少なくするためには,できるだけ回収し,再生施設と分解施設を活用して再生利用または分解無害化する必要がある。そこで,全国の再生施設数,再生量,再生システムおよび分解施設数,分解量,分解システムなどをアンケート調査およびヒアリング調査によって明らかにした。1995年では産業廃棄物処理業者の24施設で約5.3万tonの塩素系溶剤が再生され,産業廃棄物処理業者の34施設で約0.95万ton,製造業者の6施設で約1.35万tonの塩素系溶剤が焼却分解されたと推算されたが,消費量に対する割合はいずれも低いことが明らかになった。また,分解施設の中には,ダイオキシン類生成抑制対策について改善を要する施設があることも明らかになった。

キーワード: 塩素系溶剤,再生施設,分解施設,産業廃棄物

廃棄物学会誌,Vol. 9, No.1, pp.56-65, 1998

原稿受付 1997.8.22

* 横浜国立大学工学部物質工学科環境安全工学研究室

連絡先:〒240-0067 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-5

横浜国立大学工学部物質工学科環境安全工学研究室 浦野 紘平